ジオン注射

ジオン注射(ALTA療法)とは

ジオン注射(ALTA療法)とは

従来は内痔核を根治させるためには切る手術が必要でした。しかし、近年登場したジオン注射(ALTA療法)により、薬剤を注射するだけで根治が期待できるようになりました。
ジオン注射 (ALTA療法)は有効成分である硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を粘膜下層(痔核上部・中央・下部)と中央の粘膜固有層に四段階注射法と呼ばれる注射を実施します。内痔核に直接注射し、内痔核を縮小させ、直腸粘膜に癒着・固定させて脱出を起こさないようにする治療です。切る手術と比べ痛みや出血は大幅に少ないですが、ジオン注射は強力な硬化作用のあるお薬を注射するため、注射する深さや角度・量・位置などに正確なコントロールが必要であり、十分な肛門外科手術の経験を積んだ医師による施術が望まれます。

ジオン注射療法が有効な患者様

全ての内痔核に有効ですが、内痔核Goligher分類のIーIII度の内痔核では根治が期待できます。大きなⅢ度やⅣ度では症状の緩和は見込まれますが、十分な効果が出ないことがあります。

ジオン注射が使用できない患者様

  • 嵌頓痔核
  • 外痔核
  • 妊娠中や妊娠の可能性がある方
  • 授乳中の方
  • 透析治療中の方
  • 腎機能障害のある方
  • 麻酔薬リドカインアレルギーのある方
  • 前立腺癌や直腸癌に対して放射線治療歴のある方
  • 潰瘍性大腸炎のある方

ジオン注射の副作用・偶発症

  • 手術当日:下腹部痛、血圧低下、徐脈、吐き気などが生じることがあります。
  • 手術翌日~2週間:肛門部に違和感を感じますが、数日経つと解消されます。一時的に発熱する可能性がありますが、内服薬を服用することで治まります。
  • 手術後2週間~2ケ月:注射箇所の粘膜が炎症により硬化していきます。炎症の生じている場所に固い便がこすれると出血を生じることがありますが、ほとんどが自然に治まります。稀に炎症が持続してしまうと直腸潰瘍や直腸狭窄が生じることがあります。軟膏治療や外来処置で徐々に改善していきます。

内痔核について

強いいきみや冷えなどで静脈叢がうっ血して腫れた状態を痔核と呼び、肛門内側の直腸部分に生じた腫れは内痔核と呼ばれます。排便時に出血や脱出(脱肛)を起こし、はじめは痔核が自然に元の位置に戻りますが、次第に手で押し込まなくては戻らないようになり、最終的には脱出したままになってしまいます。

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日帰りで受けられるジオン注射療法(ALTA療法)

従来は脱出した内痔核の治療法は切る手術のみでしたが、ジオン注射療法の登場により注射で治せるようになりました。内痔核へ直接注射することで、痔核に入ってくる血液量が減少して縮小していき、最終的に直腸粘膜に癒着して脱出しなくなり、内痔核からの出血も治まります。治療後の痛みや出血といったリスクを最小限に抑えられ、患者様にかかる負担を大幅に減らせます。

ジオン注射の流れ

1前日

手術前日は21時までに夕食を終えて、当日は水分をしっかり摂取してご来院ください。

2当日

  • 来院後坐剤にて排便後、手術着に着替え、手術室にご案内いたします。
  • 最初に麻酔を行い、麻酔が効いたのも確認してから手術を施行します。
  • 手術時間は10分前後です。手術完了後1時間程度リカバリースペースでご休憩頂き、問題がないことを確認してご帰宅となります。リカバリースペースでの休憩時間は麻酔方法によって異なります。
  • 手術当日は気分不快や立ち眩みなどの症状が起きることもあるので、自動車や自転車の運転は控え、公共交通機関の利用もしくはご家族の方の送迎をお願いいたします。抗生剤と痛み止めを処方いたしますので帰宅後に服用ください。

31週間後

術後2-7日目までに1回目の外来診察にご来院ください。手術後の傷を確認し、必要に応じて痛み止めや軟膏などを処方します。術後7~14日間前後は排便後の疼痛や出血を伴うことがあります。

41~2ヶ月後

術後1ケ月頃には通常通りの生活が可能です。傷が完全に治るに2ケ月くらいかかります。外来でお傷の治りを確認していきます。

治療費用について

症状や状態、進行度合いによって手術費用が変わります。下記は健康保険適用時の手術金額の目安になります。詳しくは診察時にお問い合わせください。

治療方法 費用(3割負担の場合)
ジオン注射 約25,000円~約30,000円
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