痔の日帰り手術
当院では入院を必要としない痔の日帰り手術を行っております。肛門はとてもデリケートで血管に富む器官です。手術後の疼痛や出血のため、従来は1週間前後の入院での手術が一般的でした。近年内痔核に対してはジオン注射(ALTA療法)を併用することで切る範囲を少なくする手術法ができるようになりました。そのため術後の痛みと出血を減らすことができ、日帰り手術で痔の治療することができるようになりました。
日帰り手術を受けるには
痔は良性疾患ですので、まず症状を緩和させるために坐剤や内服薬で治療するのが良いでしょう。それでも症状が改善されない場合は手術治療をご説明いたします。手術治療のメリットとデメリット、患者様の症状やライフスタイルなどを相談の上、最適な治療法をご提案させていただきます。
おしりの症状は肛門だけでなく、肛門より深い直腸や大腸に生じた癌やポリープや炎症性腸疾患が背景にあることもあります。重大な疾患を見逃さないために、当院では術前に大腸内視鏡検査を行うことをお勧めしています。
手術後の傷の治り方に個人差はありますが、傷が完全に治るに2ケ月くらいかかります。手術後は2週間毎に3-4回、外来でお傷の治りを確認していきます。
日帰り手術の流れ
Step1前日
手術前日は21時までに夕食を終えて、当日は水分をしっかり摂取してご来院ください。
Step2当日
来院後坐剤にて排便後、手術着に着替え、手術室にご案内いたします。
最初に麻酔を行い、麻酔が効いたのを確認してから手術を施行します。
手術時間は15-20分程度です。手術完了後、1時間程度リカバリースペースでご休憩頂き、問題がないことを確認してご帰宅となります。リカバリースペースでの休憩時間は麻酔方法によって異なります。
手術当日は気分不快や立ち眩みなどの症状が起きることもあるので、自動車や自転車の運転は控え、公共交通機関の利用もしくはご家族の方の送迎をお願いいたします。抗生剤と痛み止めを処方いたしますので帰宅後に服用ください。
Step31週間後
術後2-7日目までに術後1回目の外来診察にご来院ください。手術後の傷を確認し、必要に応じて痛み止めや軟膏などを処方します。術式にもよりますが、術後7~14日間前後は排便後の疼痛や出血を伴うことがあります。
Step41~2ケ月後
手術後1ケ月頃には通常通りの生活が可能です。傷が完全に治るに2ケ月くらいかかります。外来でお傷の治りを確認していきます。
治療後の注意点
手術後の合併症を起こさないための生活の注意点をご案内いたします。
排便
- 術後の排便状況により術後の疼痛や出血リスクとなるため排便コントロールが重要です。
- いきむと疼痛や出血リスクになります。残便感があっても無理に出そうとしないことが重要です。
- 手術後1ケ月は排便は毎日1回必ずあるように習慣づけてください。
- 排便後はシャワーやソフトなウォシュレットなどで、局所を清潔にしてください。
入浴
- 治療当日はシャワーであれば可能です
- 治療翌日から入浴は可能です。40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくり入浴してください。
- 局所を清潔にして温湯に局所や全身をつけて血液の循環を良くすることは、傷を治す上で有用です。
食事・嗜好品
- 刺激物(唐辛子、キムチ、カレー)や油分が多い食事は1週間前後控えて下さい。
- アルコールを摂取すると血流が良くなり出血しやすくなるため術後2週間禁止です。
- タバコ/コーヒーは過量にならなければ摂取可能です。
日常生活
- 仕事、日常生活は通常通りで構いません。
- 軽度の運動(散歩、ジョギングなど)は翌日から開始しても構いません。
- 長時間にわたって同じ姿勢やいきむ作業は避けるようにしましょう。
- 力仕事や激しい運動・温泉/サウナ/プール・旅行は術後3週間はお控えて下さい。
- “自転車”の乗車は手術直後は大きな負担となるため術後3週間はお控えて下さい。
痔を再発させないために
痔の発症・再発を防ぐには、肛門に負担のかからない生活を送ることが重要です。
次のポイントに注意しましょう。
正しい排便習慣
- 朝食は欠かさず食後はトイレに行くようにする。
- 残便感があっても無理に出そうといきまない。
- 排便はいきむ時間も含めて5分以内に収める。
- 便意を感じたらすぐにトイレに行く。
食生活
- 飲み物は常温もしくは温かいものにする。
- 香辛料や刺激物の摂取を控える。
- 食物繊維が豊富な食事を心掛ける。
- 十分に水分を補給する。
- アルコールは適量に抑える
その他
- 適度な運動習慣を身に付ける。
- 長時間同じ姿勢にならないように、こまめに休憩をはさむ。
- 睡眠をしっかり取って休むようにし、ストレスを解消する。
- お腹や足腰を温める。
- 毎日湯船につかるようにする。