ピロリ菌とは
胃に住み着くピロリ菌
ピロリ菌は人の胃の中に住み着く細菌で、食べたり飲んだりすることで口から侵入します。大人の体に入っても胃酸が殺菌されますが、子どもは胃酸の酸性が弱く、5歳までにピロリ菌が体内に入ると胃に住み着いてしまいます。
胃がんの9割以上はピロリ菌が関係
胃がんの9割以上はピロリ菌が関係し胃がんになった日本人の9割以上にはこのピロリ菌がいて、がんの発症に関係していると言われています。ただ一方で、ピロリ菌の保有者で胃がんになるのは8%ほどです。当院ではピロリ菌の除菌を行っていますが、これは胃がんが発症するリスクを下げるための療法です。
ピロリ菌がいなくなっても胃がんの危険性がなくなるわけではありませんので、1年ごとの胃カメラをお勧めしています。
感染経路
ピロリ菌の感染経路はまだ完全には解明されていませんが、口から入って胃に感染する経口感染であると考えられています。上下水道が整備されていない衛生環境が悪い環境では感染率が高いのですが、成人してからそうした環境に長く住んでも感染することはほとんどないため、免疫力や胃酸がまだ弱い幼少期に感染するとされています。ピロリ菌に感染すると、菌が自然になくなることはほとんどないため、菌を排除するためには除菌治療が必要です。日本では若い世代のピロリ菌感染者数は減ってきているのですが、40歳以上の感染率は先進国として例外的に高い傾向があり、高齢になるほど感染率が高い状態です。口移しや食器の共有などによって感染する可能性があるため、除菌治療は次世代に感染を広げないためにも有効だと考えられています。
発見から除菌まで
薬の服用で除菌が可能
胃カメラでピロリ菌によって起こったと思われる胃炎が見つかった場合には、医療保険を使ってピロリ菌の検査、また除菌を行うことができます。そのほか、ご本人の希望でピロリ菌検査を行う場合には、保険は効きませんが採血によってピロリ菌の検査を行うことができます。その場合に、もし菌が見つかった場合は胃カメラで状態をよく調べた上で除菌を開始します。
除菌には、専用の薬を1週間飲んでもらいます。これでおよそ7割の方は除菌が成功します。除菌できなかった場合は2次除菌として1週間、また同じ薬を服用してもらいます。また、当院では自費にはなりますが3次除菌も対応しています。
ピロリ菌の除菌治療
薬を1週間服用するだけで治療は完了します。抗菌薬2種類に加え、抗菌剤の効果を高めるための胃酸分泌抑制剤を服用します。除菌が成功したかどうかの判定は、服用後一定期間をおいてからでないと正確な結果が出ません。そのため、服用後6〜8週間経過してから判定検査を行います。なお、1回目の除菌治療に失敗した場合、2回目の除菌治療も可能です。その際には、抗菌薬を1種類変更して治療し、再度判定します。
1次除菌・2次除菌
朝・晩2回、7日間に渡って2種類の抗菌薬と、胃酸の分泌を抑える薬を服用します。6〜8週間後の判定検査で除菌成功の結果が出たら、治療は終了です。判定検査で除菌が失敗という結果になった場合には、2次除菌治療が可能です。抗菌薬を1種類変更し、それ以外は1次除菌と同様の治療を行って、判定します。1次除菌と2次除菌を合わせた成功率は、9割を超えるとされています。
除菌治療薬の副作用
肝機能の(AST(GOT)、ALT(GPT))値の変動、軟便、下痢、味覚異常などが報告されていますが、こうした症状は服用後に自然と解消に向かいます。ただし、症状が気になる患者様には、その都度適切に対応していますので、すぐにご相談ください。
なお、治療薬の服用により発疹やかゆみなどのアレルギー反応が起こった場合は、すぐに服用を中止し、ご連絡ください。